今年の4月8日に任期満了を迎える現日銀総裁の黒田東彦総裁の後任について、2月6日に日本経済新聞が雨宮正佳氏に政府が就任を打診したと伝えました。まだ確定というわけではないですが、次期総裁に就任する可能性は低くないと考えられます。
そのため今回は次期総裁候補である雨宮正佳氏について解説いたします。
直近の極端な円安相場や物価高等から、次期日銀総裁候補は金融緩和に慎重と言われている中曽宏氏や山口廣秀氏等が有力候補であると考えられていました。
しかし雨宮正佳氏は金融緩和に前向きなハト派とみられており、黒田東彦現総裁の金融緩和について重要な役割を担っていただけでなく、金融緩和に慎重であった白川方明前総裁の時に対立する立場であったといわれています。
以上のことから、もし雨宮正佳氏が次期総裁として就任した場合、過度な金融引き締め懸念は和らぐと考えられます。つまり円安・株高相場と言われる相場が期待されるわけです。
しかし、現時点で注意すべき点が2点ほどあります。
まず雨宮正佳氏が正式に就任すると決まったわけではないという点です。
現状では2月10日に政府が国会に人事案を提出するとみられています。通常であればそのまま政府案が通ると考えられますが、ご存じの通り直近の物価高等の現状もあり、現体制に近い雨宮正佳氏を次期日銀総裁とする案には野党からの反発が想定されます。
次に現在の物価上昇率は緩和に前向きである黒田東彦現総裁が目標としていた数値を大きく上回っており、緩和に前向きと言われている雨宮正佳氏が次期総裁となったとしても、今までのような大幅な金融緩和からは修正される可能性がある点です。
2022年12月のCPI(生鮮食品を除く)は前年同月比で4%の上昇となっており、日銀の目標である2%を大きく上回っています。アメリカの主要指標も引き続き強さが見られインフレが落ち着くまではまだ時間がかかりそうです。以上のことからも新総裁が誰になるか?新総裁の方針は?経済状況は?等様々なことを注視していく必要がありそうです。
